作業に必要なのは8,10,11,16,19mmのフランス車定番レンチ類、ガレージ・ジャッキ(ただしクルマを上げるのではない(^^;)、バール、あとは腕力です(^^;最初にエンジン下ろしにじゃまなバンパー、フェンダー、ボンネットを全部取っちゃいます。ボンネットは半分開けた状態で横に引き抜くことができます(^^;達人ともなるとボンネットも外さずに交換するらしいですけど。なにしろ、なるべくバラさないでクラッチ交換したいのが人情です。少なくとも15分くらいは腕組みをしてエンジンルームを観察、作戦を練りましょう。とりあえず、ヒーターホース、フューエルホースIN側、ヘッドライト上下用(?)ロッド、ポイントへの配線、エアクリーナー・ケースを外した時点でヘッドライトステー(鳥居(^^;)を根本からはずして配線ごとミッションケースの上に乗っけてしまいました。それからボンネットキャッチもはずします。ヒーターエクスチェンジャー(要は黒い弁当箱)の両端のエキマニのクランプをはずします。さらにチョーク・ケーブル、アクセル・ケーブルもはずしてしまいます。ここらへんになるとボルト、ナットがごっちゃになってしまうので整理してザルとかに入れておくのがポイント。
毎度おなじみ、情けない姿。
エキマニのクランプをはずしておきます。
「鳥居」の根本をはずしているところ、あまりに安直な取り付け方法に、オーナーの私が苦笑することしきり(^^;
ガソリンタンク〜フューエル・ポンプ間のホースを抜きます。当然ガソリンがだだ漏れになるので何かで栓をしておきます。
「鳥居」をハネ上げたところ。なんかイカみたい〜。
エンジン−ミッションは16mmのナット4本で締め付けられています。上2本は簡単ですが下2本はヤッカイな場所にあります。横側からオープンレンチを差し込み、ちょっとずつ回していると日が暮れそうなのでワザを使います。16mmのソケットに首振りエクステンションを2本繋ぎ、これをブレーキ・ローターの裏側から差し込み、後ろ側でラチェット・ハンドルを付けるというもの。これならばキコキコ回せます。但しエクステンションがたわんでしまってナットがゆるまないのであれば、オープンレンチで一撃を与えてからソケットで回す作戦を取れば良いでしょう。
エンジン−ミッションを止めてる16mmのボルト。これは簡単にはずれます。
問題はここ。実は赤矢印がボルトの位置です。ここにオープンレンチを入れても、ほとんど首を振れないのです。で、青矢印のようにエクステンションを駆使してブレーキ・ローターの裏から責めるとイケます。
最後にフレーム前端のエンジンマウントのボルト2本を抜いておきます。このまま引き抜けばエンジンは抜けるはずですが、オイルパンがフレーム前端に当たってしまいます。でガレージジャッキでミッションを持ち上げてやります。2CVのフレームにはアンダーカバーが張ってあり、これをはずすことはできないため、三角のサービス・ホールにジャッキの皿を入れるか、木っ端を入れて持ち上げます。ここで、助っ人を一人、呼びます(^^;
男二人(たぶん女性でも可)で両側からエンジンを持ち、結構乱暴に上に持ち上げつつ、前へ引っ張ります。スプラインが抜けてこないときはバールをフライホイールのところへ差込み、コジります。これでエンジンを前へ引き抜くことができます。2CVのエンジンはアルミ製。一人でもなんとか動かすことは可能です。昔ぎっくり腰で大変な目に遭ったことのある私は、一人で持ち上げてみようとは思わなかったけど。
エンジンマウント。これも16mmのボルトです。
エンジンをひっつかんで、揺すりながら赤矢印にバールを入れてコジれば、スプラインが抜けてきます。
エンジンはアルミブロックの空冷602ccなので軽い。一人だとちょっと無理があるけど、二人ならひょいと持ち上がる。大きめのバイクのエンジンって感じ。
エンジン裏側。
ミッションはこんな感じで残ります。
11mmのクラッチ・カバーボルトはフライホイールが空回りしてしまうのでインパクトで緩めました.......と。うわわ〜、ディスクはつるつるでした(^^;もうちょっとでライナー取り付けねじの頭まで擦り落とすところでした。そうなるとフライホイールが傷だらけになり、面研に出す騒ぎとなります。ミッションケース側はグリスと埃がべっとり。ブレーキクリーナーを吹き付けても、染み込んでいっちゃう始末(^^;スプライン、レリーズ・フォーク周りの洗浄だけに留めました。レリーズベアリングはスプリング・ピンを抜けば簡単に外すことができます。洗浄が終わったら新品のレリーズ・ベアリングを取り付け、スプラインには付属のモリブデン・グリスを塗りつけておきます。エンジン側は付属のセンター出しSSTを使ってディスクとカバーを組んでやります。朝10時に始めて、昼にはここまで終了しました
天寿を全うしたクラッチディスク(左)。こないだ交換した友人のロードスターより酷いね、こりゃ。滑るワケだ。
Valeo製クラッチOHキット(\34,000)。デルタもロードスターもValeoが純正でした。クラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリング、さらになんとセンター出し用の樹脂製SSTまで付属しています。なんと親切なことか。さらにスプライン用のモリブデン・グリスも付属。
新品のクラッチ・ディスク、カバーを付けたところ。付属のSSTはこのように使います。
昼飯後作業再開、エンジンを再び組みます。ミッションケースを持ち上げてスプラインが一直線になるようにして差し込んで行くのですが、ここで問題発生。後端のミッションマウントのゴムが完全に死んでいるのでミッション全体が大きく前後に揺れてしまいます。急停車時の「がったん」という音はミッションケースが前後に「よっこらしょ」していた音だったようです(^^;で、急遽エイデンシャの新井じいじからミッションマウント(\4,200)を購入、交換しました。気を取り直してエンジンを載せます。ここらで新井じいじはワインを盛大に飲み始めたためにアテにならなくなりました(^^;
エンジンはある程度入ってきてもスプラインは一発では入りません。押し込みながらフライホイールを少しずつ回して行ったら「カキッ」とかすかな音がしてエンジンがはまりました。
ミッションマウントは写真のように後端にあります。赤矢印の11mmのボルトと青矢印の16mmのボルトをゆるめます。しっかし、やりにくい〜(-"-)
外したミッション・マウント。完全に死んでいます。インボード・ブレーキの2CVは、このマウントが制動力を一手に引き受けるのでしょう。これで「がったん」音ともサヨナラです。
あとはもう、ひたすら組んでいきます。後で「ねじが余っちゃった」なんてことがないように(^^;組立で注意したいのはエキマニのクランプです。ある程度締めたら、プラハンでゴンゴン叩き、また締めていきます。こうすると後で排気漏れを起こすこともありません。あと、新品のクラッチ・ディスクを入れたため、クラッチペダルのリリース位置が変化してるはずです。クラッチ・ワイヤーを再調整しておきます。
試乗すると、ん〜調子いい。ペダルがびっくりするくらい軽くなっています。全く初めての私が作業して約5時間。「プロの素人」のまっちゃんは3時間くらいでこなしちゃうらしい。ロードスターで苦労してるだけに、2CVのアッケない構造にひたすら驚きです。新井じいじ、高橋さん、助っ人ありがとうございました。