サスペンション・ブッシュ交換(フロント編)


 ついにこの日がやってきました。デルタのアシ周りブッシュ交換第1弾です。イギリスのBarry Waterhouse Engineeringから個人輸入したブッシュをブチ込むワケです。作業はB's GARAGEの工場の一角をお借りしました。

 こいつらがブッシュ類です。デルタの場合、プレスで圧入してあるブッシュは少ないので作業は楽です。

  1. Set uprated front suspention bushes(フロント・サスペンション・ブッシュセット)要するにフロント・ロアアームのブッシュ・セットです。キャスター・バー(?)の基部はご覧のようにアッシーです(純正)。
  2. 1 Pair front anti roll bar bushes(フロント・アンチロールバー・ブッシュ)アンチロールバー(スタビライザー)の端に刺さるゴムブッシュです(純正)。
  3. 1 Pair rear anti roll bar bushes(リア・アンチロールバー・ブッシュ)同上(純正)。
  4. 1 Pair rear in-hub rear trailing arm bushes(リア・トレーリング・アーム・ブッシュ)リア・アップライトに繋がるトレーリング・アームのブッシュ。これは強化品のようです。
  5. 1 Pair front lower ball joints(フロント・ロワアーム・ボールジョイント)その名の通りのボールジョイント。ランチア純正の袋に入っていましたが、このあと事件の元となります。


 このままだとどこのパーツだかわかりにくいので、イラストで説明します。


 デルタのフロントサスペンションです。
 基本的にマクファーソン・ストラットとロワ・アームの組み合わせ。小型大衆車のフロント・サスはみんなこんな構造です。この構造の欠点はアライメントの調整がやりにくいこと。キャンバの調整はストラットのアッパーマウントをずらすか、ストラットとアクスル部のつなぎ目をずらすしか無いようですが、当然デルタそのままでは調整できません。で、緑の部分がフロント・ロアアーム・ブッシュのセット。赤がロワアームのボールジョイント、青がスタビライザーのエンド・ブッシュです。


 とっても悲しいデルタのリアサスペンションです。
 こんな貧弱なアームで31kgmのトルクの約半分を受け持っているのですからオドロキです。モロFFのサスをいぢりました的です。ホーシングは左右極細トランスバース・リンクを支えていますが、薄い鉄板をプレスで曲げただけのシロモノ。バックで段差を乗り越えただけで、ぐにょぐにょに曲がってしまった例もあります。タイヤの前後方向を押さえるものは直径約4センチのパイプでできたトレーリング・アームだけ。こんなのでタイヤをインチ・アップしたり、雪道を走ったりすればどうなるか.......おそろしいことですね。ワシもサーキットを一度走っただけで、アライメントがガタガタに狂いました。WRCマシン?そんなの別モノですよね。
 赤がトレーリング・アームのブッシュ、青がスタビライザーのエンド・ブッシュです。

 さて、気を取り直して作業です。今回は比較的簡単なフロント周りを攻めます。

 フロントをジャッキアップしてウマをかませたら、タイヤを外します。で、まず13mmのレンチでロワアームのスタビライザーを挟んでいるプレートを左右外します。これでスタビライザーが自由になります。赤矢印はエンド・ブッシュ。こいつは新品に交換。

 次いで、ロワアーム下側の17mmのナット2本を外してキャスター・バーを自由にします。

 でキャスターバー前側のプレートをはずします。これは17mmがメインですが、左側の1本は赤矢印のミッションマウントと共締めになっているので、これだけは19mmのレンチが必要です。

 ごろり。もちろん左が新品です。ブッシュのヘタりもあまりないようです。早まったか(^^;

 アームはゴムブッシュでブニョブニョしてしまい、レンチではゆるめにくかったのでインパクトでゆるめました。ああ、コンプレッサーとエア・ツールが欲しい一瞬(^^;

 幸いキャスターバーは圧入ではなかったのでナットをはずすとすっぽり抜けます。組む時には写真のように摺動部にはカッパーグリスを塗っておきます。

 次にロワアーム本体の取り外しです。ボールジョイントを止めている13mmのナットをゆるめます。で、反対側のボルトを引き抜かないとアクスルが外れません。ところが、これがバキバキに錆びており、フリーになったはずのボルトも回らない状態。仕方がないのでCRCをお見舞いし、しばらく様子を見ることにしました。昼飯後、レンチで一撃を加えると、ちょっと動きました。ただし、ここで力を入れすぎるとボルトが中で折れて泣けます。で、反対側からポンチとハンマーでけこけこ叩くと、ボルトはやっと抜けました。

 ボールジョイントのピンも錆び付いて容易に抜けません。アクスル側にマイナス・ドライバーを叩き込み、広げています。これでやっとこさっとこロアアームがフリーになりました。

 次いで17mmのボルト&ナットで止まっているロワアームのリア側の基部外すとロワアームがごろりと落ちます。写真手前側がボールジョイント、奥がブッシュです。

 ロア・アームのボディ側基部は驚くほど貧弱。ぺなぺななアンダーパネルです。仮に前からクラッシュした場合、まずここがぐにゃり、と逝きそうですな(^^;

 ロア・アームから外したリア側ブッシュ。当然右側が新品ですが、これもヘタリはほぼなし。う〜む。

 次いで同じくロアアームから3本のボルトでボールジョイントをはずし、新品と並べてびっくり。うわわ、ピンの形状が違うぢゃん(-"-)
 右の新品は細くて面取りがしてあります。がっかりしていてもしょうがないので、古いパーツをブチさんにチェックしてもらったところ、多少減っているが、ガタはないので、グリスを入れ替えればOKだろうとのこと。ラバーブッシュをめくってグリスを塗りたくってもらい、泣く泣くこいつを元に戻しました。

 ロア・アームを取り去ってもアクスルはストラットにぶら下がっており、落ちることはありません。ただし、この状態でがこがこ揺すったりするとドライブシャフトのスプラインが抜けたりして、泣きます。

 ロア・アーム組み付け中のワシ。当然翌日は筋肉痛の嵐です、情けない。

 組み付けはタッタカ進みました。とりあえず、この日はフロント周りのみ終了。試乗してみるとやはり、フロントがガチっとしています。あと、ステアリングが軽くなり、切り込んだ時に鼻先がスパっと向きを変えるようになったのが体感できました。なるほど、なるほど、なかなかいいぢゃん。


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