例によってクーリングファンをはずし、ポイントケースのフタを開けます。赤矢印のカムシャフトにはボルトをネジ込んでおきます。ここへ14mmのソケットを刺し、カムシャフトを回すことになります。青矢印はカムです。
前回はシフトをローに入れ、無理矢理クルマを動かしてカムシャフトを回しましたが、このように直接回すこともできます。この方が微調整が容易ですな(^^;で、ポイントが一番離れる場所まで回していきます。
要は図のように緑色の楕円形のカムがポイントケースに対して縦長になるようにして、赤いポイント・ギャップを調整するわけです。ヘインズのマニュアルによるとポイント・ギャップは0.35mm〜0.45mmですが、いろいろやってみたところ、0.45mmくらいが一番調子いいようです。
実際にはこんな感じです。これも前回と同じ作業ですな。ただし、ネジを締めている間にギャップがずれてしまうことがあります。ネジ締め後にもシグネスゲージでのチェックをお忘れ無く。本来はこの後、ドエル(ポイント開度)角を109度±2度に調整する必要がありますが、ドエル・チェッカーを持っていないため、パス。
さて、ここからが本題。キャブの左側、エンジンブロックに赤矢印のように穴が開いています。早速五寸釘の登場(^^;ま、細い棒ならなんでもいいんですが、私は実はヘキサゴンレンチを使いました。この棒を穴に突っ込み、青矢印の方向に押さえながらクランクシャフトを回していきます。実は相手側のフライホイールにも一カ所穴が開いています。するとうまいこと棒がフライホイールに刺さるとクランクシャフトが回らなくなります。実はこれが点火時期調整の基準なのです。
このようにポイントケースを移動させることにより、点火時期の調整をすることができます。
ヘインズのマニュアルでは12V電球に電線を半田付けし、ワニ口を付けたジグが紹介されていましたが、私は検電器を使いました。検電器のワニ口をボディーアースに接続、検電器の先をイグニッション・コイルの一次側のマイナス側に接続します。イグニッションをオンにし(くれぐれもスターターを回さないように)、ポイントケースを移動させながら、ちょうど検電器が点灯/消灯する箇所を探します。実はこれが圧縮上死点8度前、つまり適正な点火時期になるのです。
普通はこれで終わりなのですが、実は2CVは若干(1〜2度)ほど点火時期を早めた方がパワーが出ます。やりすぎるとノッキングを発生したりしてヤバイのですが、私は当然ハイオクを入れてますので、ちょい早めに調整することにします。
エンジン静止状態で、写真のようにフライホイールにホワイトマーカーで白線を入れます。もうちょっと右側に入れたほうが良かったようです。
マーカーを入れたらさっきの棒を抜き(絶対に忘れないよーに)、エンジンを始動し、アイドリングさせます。2CVは同時点火なのでタイミングライトのプローブはどちらかのプラグコードに挟めばOKです。これで、先ほどの白線を観察します。すると、エンジン静止状態よりやや白線が左に移動することが分かります。これは遠心進角という進角動作が行われていることを意味します。ですから、この白線の位置がアイドル状態での圧縮上死点前8度の点火時期を示すことになります。
エンジンをアイドルさせたまま、先ほどのポイントケースを移動させると白線の位置が左右に動いたり、アイドルが変化したりします。これは点火時期が変化していることを意味します。私はさっきの位置よりやや左側に移動させました。これで1〜2度、点火時期を早めたことになります。もうちょっと左でも良いですな。ただし、ずらすのはエンジン停止状態を基準にして、フライホイールのギア2つぶんくらいまでにしてください。
番外ですが、毎度手を焼くクーリング・ファンはずし(^^;経験した人なら結構ヤッカイなのをご存じでしょうね(^^;今回は写真のようにクランクを掛け、左手で持ち上げた状態にしてハンマーで叩いたらイッパツでした。お試しあれ。ただし、叩きすぎるとショックでクランクシャフトが歪んでしまうこともあるようです。
今回は東京、世田谷にあるWork Shop SAMの場所とタイミングライトをお借りしました。オーナーの棚網さんは、私が厚い信頼を寄せるメカニックの一人です。
点火時期調整後、練馬から川越まで高速に乗ってみました。すると、いままであった中速域でのトルクの落ち込みがなくなり、加速が力づよくなったのが、モロ体感できます。感激でした(^^)/~~~