
一時期、僕は同時に4台のクルマを同時所有していた。あまりといえばあまりな話で、ほどなく僕はどんどんクルマを処分して2CVだけが手許に残った。シモキタに住んでいた時は2CVで引っ越しやら家具の運搬やらをまかなっていて、ある寒い冬の朝にYっちがインフルエンザでぶっ倒れたときも厳寒の2CVで世田谷の病院まで連れて行った。2CVはとても調子が良かったんだけど、生活に使うにはなかなか厳しく、特に夏場の稼働率はほぼゼロだった。

そんなわけでついに僕は2CVとの別れを決意する。Yっちによればやっぱりクルマは屋根が開かないとダメらしい。で、選んだのがフィアットのプントであった。ちなみに日本と違ってイタリアには階級意識という名のカースト制(^^;がまだ残っていて、所詮庶民はフィアットに乗ることしかできない。いくら金があってもフェラーリを所有することは許されないのだという。庶民と上流階級とでは修理工場まで違う。これは日本では考えられない。僕の知り合いの医者がキャブレターのフェラーリ308を持っているのだけれど、彼がフィオラノ詣でをしたときに「実は僕もフェラーリ・オーナーで」と地元のひとに話すと、「医者ごときがフェラーリに乗れるはずがない」と一笑に付されたそうだ。あのジェームス・ボンドは特権階級だからアストン・マーティンに乗れるのだ。

つーことはさておき、ショミンのクルマ、フィアットプントである。フツーのプントの屋根を無理矢理切ったので剛性はぐにゃぐにゃだった。オープンカーは屋根を切った代償としてボディの強化を行う。だから屋根付きグルマより重量が重くなるのがよくあるケース。1.2Lのエンジンはかなりひ弱なので、高速の追い越し加速は、いきおいベタ踏みとなる。だからかえって燃費が悪かった。で、問題はスバル製CVTである。いわゆる無断変速ってやつでこれの操作はかなり違和感があった。慣れるまでが結構気持ち悪かった。黄色いボディは愛嬌があってかなり気に入っていたんだけど、運転感覚は気に入らなかったなぁ。で、売っちゃった。次のオーナーは「エアスポイラー付けるんです」とうれしそうだった。ダサ。