Garage Bandで簡単宅録(3)

2013年04月06日

 タイトルは「Garage Bandで簡単宅録」ですが、今回はは波形整形ソフトのWAVELAB ELEMENTS 7を使ったトラック別マスタリングの解説となります。
 WAVELAB 7はスタインバーグ社の波形整形ソフト。スタインバーグというとCubaseという音楽制作アプリが有名だけど、僕はずいぶん昔からその廉価版Cubasis VSTをWindows時代に使ってました。それにオマケでついていたのが波形整形ソフトのWAVELAB ELEMENTS。音質もいいし、操作系も簡単で愛用してました。それがついにMacに対応、正規版のWAVELAB 7は5万円もするけど機能限定版のELEMENTS 7は1万円ちょっとで買える。アマゾンのレビューでmp3で出力できないとかいう口コミがあったが、mp3エンコーダなんてフリーウェアがいくらでもある。気にすることはない。前回、Garage Bandで録音したデータのパッチ作業をやってみよう。

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 Garage Bandの画面。トラックが2つ。ここでは「Northwood」というトラックがメインの録音、「Northwood_p」というトラックがパッチになる。これを同時に処理しなくてはいけないので2つのトラックをLRチャンネルに振り分けて同じタイムラインで作業することにする。トラックのパンで「Northwood」トラックはLいっぱい、「Northwood_p」トラックはRいっぱいに振っていることがわかる。これで波形を書き出せば2つのトラックがLRチャンネルに振り分けられる。この段階ではエフェクトはすべてオフ、なるべく最後まで生音のまま作業することを心がけること。Garage BandではMacのaif形式でしか書き出せないが、WAVELAB ELEMENTS 7はもちろんwaveもaifも扱えるので問題ない。ちなみにGarage Bandはwave形式の音源の「読み込み」は可能。

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 Garage Bandで書き出したaif形式音源ファイルをWAVELAB ELEMENTS 7で開いてみたところ。上側の波形がLチャンネル、つまりメイン音源、そして下側の波形がRチャンネル、つまりパッチ音源。画面のように、メイン音源のミスった場所を探し出す。パッチを当てたときにタイムラインがずれないよう、マーカーを設定して、反転表示したパッチ部分をLチャンネルに貼付けることになる。

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 Rチャンネルのパッチ部分をLチャンネルのジャスト部分に貼付けたところ。WAVELAB ELEMENTS 7では「特殊な貼り付け」「上書き」ということになる。なお、きっちりドンカマで管理されたデータ、音源であれば、例えば4小節単位で曲を延ばしたりすることもできるけど、もちろんギターのトラックを延ばせば、ヴォーカルも同じ時間だけ延ばさなければならない。小細工をするには予めなにかを仕込んでおく必要があるかもしれない。うまいことやればワンコーラスだけ録音して、あとはそれをコピペすればいいんだけど、果たしてそれは音楽なのか?
パッチを当てた部分はもちろん何度も再生して不自然になっていないか確認する。これでオーケーならば個別音源のマスタリングに入る。パッチが当て終わったLチャンネル全体を選択してコピー、新たにモノラルの音源を作って貼付け。これでメイン音源のモノラルデータができた。
 このままだと音量レベルが小さいかもしれないので「処理」「レベルノーマライズ」で「実行後のピークレベルを0.000dB」、「左右チャンネルに同一処理」で目一杯音量を上げておく。変なノイズやら、録音中に飛び込んでしまった雑音(携帯電話のブルブル音や、救急車の音とか)を判断するのは結局はヘッドフォンで聴く、自分の耳。なるべく音源のボリュームを上げておけば発見が早まる。
 ノーマライズが終わったら、通して聞いてみて楽器を弾いていないときの雑音なんかをミュートしてやる。消したいところを選択し、クイックミュートすればいい。ヴォーカルなんかだと歌い始める前に口を開けたときに「ぴちゃっ」みたいな不快な音が入ることがあるので適宜ミュートする。で、息継ぎ音はどうしようかと思ったけど、適度な息継ぎ音は迫力が出るのでなるべくそのままで行くことにした。ギターの弦をこする「きゅっ」という音も、場合によってミュート、レベルを落とす等の処理をする。

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 楽器の音が出ていないときはどうしてもノイズが気になるものである。曲の途中でブレイクする部分等はきっちりフェードアウト処理をして、S/Nが悪くなるのを防がなくてはならない。
WAVELAB ELEMENTS 7のフェードイン/アウト処理には直線、正弦関数、対数関数等いろいろなカーブが選べる。要するにMaxボリュームからのボリュームのしぼり方を選べる。いろいろやってみて自然な感じになるように。このタイミングでDCオフセットの除去なんかもやっておく。難しく考える必要はない、ただ実行すればいいだけ。

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 ここで個別音源のマスタリングをする。マスタリングはいろいろ言われているが、なるべくボリュームを上げることと、イコライザで聞きやすくするということ。マイクで録音した音源は必ず周波数特性によって生音とは違う音になる。これをイコライザで補正する。僕はヘッドフォン、PC用小型スピーカー、ステレオのスピーカーの3つで聞き比べて、変にモコモコしたり、キンキンしたりしないようにしています。画面はWAVELAB ELEMENTS 7内蔵のVSTエフェクトの4チャンネルのパラメトリック・イコライザ(Studio EQ)でローカット処理をしているところ。とりあえず、このように200Hz以下をしぼることでモコモコな感じを回避できる。
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 どんな環境でも同じように聞こえる音源を作る、というのが理想だけど、いろんなスピーカーで聞いてみると全然違うんだよね。本当はiPadの内蔵スピーカーとかでも聞いてみるべきなんだろうな。でも本格的なマスタリングはミックスダウンの後にもう一度やることになるので、ここでは無難な線に留めておく。最近はPCで音楽を聴く人が増えたから、PC用モニタースピーカーでのマスタリングがメインになっていくのかもしれないね。でも結構ショボイんだよね、PC用スピーカーって。
 マスタリングが決まったら、ファイル名を変えて書き出しておく。音源ファイルは日付とともに、内容がわかるように工夫して管理すること。無駄なファイルはマメに削除しておくこと。これをちゃんとしておかないと、どれがオーケー音源だかわからなくなってパニクることになる。これ大事。


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Garage Bandで簡単宅録(2)

2013年03月27日


 CD制作はプラモデルみたいなもんだと思います。ある程度制作途中で起こるであろう現象を予想しておいて、しかるべき準備をする。それが予め全部わかっているのがプロフェッショナルとの違いなんだよな、とも思います。曲だってもちろんすべてのスコアが揃っていて、すべての楽器の効果が予想できる、なんて人はあまりいないと思います。おぼろげに録音して、ああダメだ、とかそれいいじゃん、なんていいながらじゃあこれはピアノ入れてみようかとか、エレキギターのリード入れよう、なんて感じなのが実情だと思います。だから後で起こるであろうことをある程度予想してトラック録音しておかないと、後々取り返しのつかないことになったりするかもしれません。今回、僕がやってみて思ったことをちょっと書いておきます。

  • ドンカマを使うかどうか
     ドンカマとはメトロノームのこと。コルグが1963年に出したドンカマチックというリズムマシンが語源だとか。それはともかく、Garage Band内蔵のメトロノームを使うかどうかというのは予め決めておく必要がある。エンディングならまだしも、曲の途中にリタルダントやブレークがあるときは多いに問題だし、ルバート演奏だとまずドンカマは使えない。プロはこういうテンポ可変の曲のために時間をかけて、わざわざ打ち込みをすることもあるらしいけど。ドンカマを使えばもちろんリズムキープはできるが、われわれ素人にとっての問題は演奏者がそれにちゃんと合わせて録音できるかということ(笑)
     やってみると、演奏中にドンカマのクリック音とずれている自分に気づいて、あわてて修正、なんてやると、後でプレイバックしてみるとビートがヨレヨレで凹みまくるっちゅーパターンが多かった。イヤ本当に練習になりましたわ。本当にこれは憂鬱なので、自信がないひとはドンカマ使わないで、ノリ一発!という選択肢も考えておいた方がいいかも。いずれにせよ、最初のトラックの録音するとなると歌もないので、ひたすら譜面を見ながら小節数を数えてゆく辛い作業となる。覚悟すること。
     それと一番最初のトラックを録音するときには録音ボタンをクリックしてからしばらく置いてから(←これ大事)、口で「ワン・ツー・スリー・フォー」というカウントを録音してから演奏を始めないと、オーバーダブのときに次の楽器の出だしがわからなくて非常に困る。これ凄く大事。
  • ドンカマを使わないとすると
    今回やってみたのは過去のありのぶ君のライブ音源をiPhoneで聞きながら、それに合わせて録音する、という手法。ライブだから表現力もいいし、歌もあるから録音も楽。ただし、これだと例の「ワン・ツー・スリー・フォー」というカウントが無いから、一発目で入れない。別の人間がiPhoneを持って、「ワン・ツー・スリー・フォー」とカウントしてからタイミングよくiTuneの再生ボタンを押す、みたいなアクロバティックなこともやったりしました。
     それでも、途中にブレークがあったり、ルバートがあったりする曲のときはタイミングをどう取るのか決めておかないと後で慌てる。ありのぶ君の曲にはこれが多くて、かなり苦労した。タイミングはある程度であれば波形整形ソフトで誤摩化せるが、基本的には録り直しが必要、と思っておいたほうがよい。
  • チューニング
     オーバーダブであるならば、チューニングはきっちりやらないといけない。ギターだとカポタストを使う場面もあるだろう。カポタストをはめるとチューニングが狂う、ということを知らない人も多いけど、カポタストをしたらチューニングのやり直しは当たり前。普通のチューナーはディフォルトでA=440Hzとなってるけど、本当にそれでいいの?スタジオのキーボードやピアノは、最近ではA=442Hzでチューニングしてあることが多いので、これを予め確認しておかないと、後からの修正は難しいと思います。それと、弾き語りでよく使われるのが、ブルースハープ。これもA=441〜442Hzらしいですよ。ライブなんかで普段テキトーにやっているひとも、録音では気をつけた方がいい。
  • どこで録音するの?
     僕の場合は自宅マンションの自室がメイン。キーボードなんかのライン録音ならばどこでやっても同じだけど、マイク録りだったらやっぱり全部の楽器はできれば同じ環境で録音しておいたほうがいいかもね。スタジオや、カラオケボックスでやればいいや、なんて思ったりするけど、意外とそういうところも音漏れがあって隣の音が聞こえてきたりするよね。コンデンサーマイクだと確実に拾っちゃう。ちなみに僕の部屋で大声を出したら、変な金属音の共鳴音がする。いろいろ調べてみたら、照明のホーロー製のシェードが共鳴していた、なんてことがありました。もちろん近所迷惑にならないようにね。ギタリストならマイクの前の椅子がぎしぎし言わないよう、オイルを差す必要もあるかもしれない。ヴォーカルなら立って歌うか、座って歌うか。。。。等
 そのへんがクリアできたら、機材のセッティングです。これも実際やってみるとあれこれ問題が起きるのよね。ああ、ヘッドフォンのケーブル短いじゃん、とか、USBケーブルも届かないよ、とか。本番やるまえに一度リハーサルをやっておくことをお勧めします。僕の場合、録音し始めたらMacBookのハードディスクが唸りを上げて回り始めたので、マイクで拾わないよう、遠ざけました。なので録音時には、
  1. Garage Bandの録音ボタンをクリック
  2. すばやくヘッドフォンをしつつ、椅子に座ってギターを構える
  3. カウントを待って演奏開始
って、そんなこと当たり前だけど、演奏を失敗しまくるとこれを繰り返すことになる。やってみるとかなり大変ですよ。だから録音をオンしてからカウントまではちょっと時間をおいておいたほうがいい。じゃないと、楽器を構える時間がないのよ、ははは。

 これがGarage Bandの画面。キーはFmaj、テンポは♩=77に設定してあることがわかります。なお、前回書いたように録音用のMacBookの性能がショボイため、「環境設定」「詳細」で「オーディオレゾリューション」を「標準」の16ビット録音/書き出しに設定しておかないと、エラーが出まくったりしました。(※画面をクリックすると拡大します。)
 Garage Bandは初心者用ソフトということで余計な機能が結構付いてます。演奏データのテンポとピッチ(音程)を自動的に修正するという「オーディオリージョン」の機能がそれ。打ち込みを使わない生録系の僕らにとっては邪魔でしょうがない機能。知らない間に赤矢印の「テンポとピッチに従う」に勝手にチェックが入っていたりするので要注意。なんか変なコーラスがかかったような音でびっくりして調べると、コイツが原因だったりします。
 トラックの追加は、もちろん「リアル音源」で行います。キーボードのようなステレオ録音をする場合にはトラックを2つ用意し、LRを分けて録音できるようにしますが、このときに「トラック」「マルチトラック録音を可能にする」を有効にしておく必要があります。

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 マイクの指向性スイッチは「単一指向性」、裏側のローカットスイッチもオンにしておきます。こういうの忘れると、後で泣く。
 用意ができたらいよいよギターの録音です。前回書いたようにドンカマのクリック音はヘッドフォンの右耳だけから出るようにし、左耳で自分の生音が聞ける状態にします。演奏中、ギターとマイクの距離が変わったりすると音量にモロに差が出ますから、いろいろ動いちゃうひとは注意が必要です。ベストなコンディションで望みたいところですが、ドンカマのクリック音を聞いた瞬間、心臓ドキドキ、手に汗握り、出足からピッキングをミスったりするんじゃないでしょうか?少なくとも僕はそうでした。いつもは簡単なあのフレーズがメロメロになったり、6弦を弾くところを5弦弾いちゃったり、結構大変。何度も何度も録音し直しているとモチベーションも落ちてきます。僕は今回一気に13曲録音してみて、やっと慣れました。それでも100%のパフォーマンスは発揮できないと思います。練習中、かなりラクショーな状態でも録音ではミスりますから、覚悟しておいた方がいいかも。スタジオミュージシャンってすげーな、みたいな。
 ちょっとしたミストーンならパッチをあてれば誤摩化せます。あまりシビアに考えず、なるべく楽な気持ちになったほうがいいです。ミストーンを出しても気にしないで弾ききったほうが、いい録音ができます。後で修正できますからね。ただし修正できないのは、ノリ、リズム、ビートの類い。ヨレヨレのリズムは修正は不可能です。今回はもうそれこそ何度も何度も録り直してます。ああ、オレってリズムダメだなぁ、と自己嫌悪の嵐(涙)
 ではパッチの実際です。「あ、やっちゃった」と思ったら、すぐプレイバック、問題の箇所を発見して下さい。ミストーンの発見、パッチの録音は「すぐその場」が基本です。時間が経ってしまうと録音の条件、演奏者のコンディションが全部変わってきますから修正ができなくなります。録音が完了したらすぐにパッチに取りかかります。Garabe Bandで新たにパッチ用のトラックを追加します。設定も本録音のトラックと同条件に設定。パッチはさっき自分が演奏した音源を聞きながらの録音になります。自分のミスに引っ張られて、また間違わないように(笑)ミスした部分のしばらく前から録音、演奏をはじめるようにすると不自然さがなくなります。その場でプレイバックして問題が無ければ録音終了。録音にはある程度の妥協は必要だと思います。完全を求めるといつまでたっても終わんないぞ。
 次回はパッチの処理を含め、個別トラックの波形編集について書いてみます。


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Garage Bandで簡単宅録(1)

2013年03月25日

 Macに標準で付いてくるGarage Bandで簡単にCDを作ろうという企画、結構固まってきたので新規カテゴリーを追加して順次解説してみることにします。なお、わたくしは音響に関しては完全なる素人ですのでよろしくです。
 コンセプトとしてはなるべく簡単な機材で弾き語りメインのCDを作ろう、というもの。弾き語り、と言っても完成形がそうなるだけで、製作としてはマルチで録音してオーバーダブしていく方法。曲はすべて友人である、ありのぶやすし(vo,g)のオリジナル。アレンジとギター演奏は主に僕が担当、一部の曲はピアノメインでアレンジする。。。というのがおぼろげな発想。録音は主に僕の自宅マンション。最近のマンションは防音が結構ちゃんとしてますが、もちろん近所を救急車が走ったり、改造マフラーのバイクが走ったり、廃品回収のトラックが来たりと、障害は多いです。それでもレンタルスタジオで録音するのと違って、料金もかからないし、じっくりと納得がいくまで撮り直しができるというのは大きなメリット。トライ&エラーを繰り返す僕ら素人にとっては好都合です。
では、機材の紹介を。
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 いちばん大事なマイクはオーストラリアはRode社のコンデンサーマイク、NT2。本格的コンデンサーマイクというとノイマンが有名だけど、1本20万円くらいしたりする。このNT2は2万ちょいで買えるコンデンサーマイクとして一世を風靡したもの。ライブハウスなんかにあるダイナミックマイクのシュアーのSM57なんかに比べると、その音質の差は歴然。ヴォーカルなんて、耳元でささやかれてるみたいにリアル。演奏者の座っている椅子のギシギシ音、シャツの擦れる音、全部拾っちゃうので注意が必要。それに衝撃や湿度に弱いから、取り扱いもデリケート。そして大きくて重いから、マイクスタンドも頑丈なヤツを買わないとダメね。マイクスタンドからの衝撃を吸収するためのサスペンションホルダーは、マイクに付属のものを使ってます。録音時は部屋の窓は全部閉め、カーテンも引いてエアコンはオフすることになる。携帯電話のブルブル音も拾っちゃうので、オフだね。本体にはローカットスイッチがついてるので常時オン。そのままだと低域をかなり拾うから、結局はイコライジングが必要になるからね。これはヴォーカルでもギターでも同じだと思った。コンデンサーマイクなのでDC48Vのファンタム電源が必要になる。オーディオI/Fか、マイクプリアンプをかませて供給します。ファンタムをオンにした状態のマイクケーブルをいきなりマイクに刺すと破損することがあるらしいので注意。
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 真空管マイクプリアンプのART Tube MP。デジタル録音だと、無機質な音になるところを、超アナログな真空管を通すことによってまろやかな音にする、というマイクプリアンプ。5,000円以下とリーズナブルなのも魅力。真空管式なので暖まるのに時間がかかる。録音の30分以上前に電源を入れておくことがポイント。コンデンサーマイク用のファンタム電源もこれから供給。20dBのブーストスイッチや、ポラリティ反転スイッチも装備。ただしノイズが若干多いのが玉にきず。入力レベルを入念に調整しておかないと、あとで撮り直しのハメに。。。。(汗)S/Nを良くするには、なるべく入力アンプで歪む寸前までゲインを稼ぐこと。曲によってアルペジオなのかカッティングなのかでこまかく設定を変えること。そしてヴォーカル録りのときはマイクとの距離をキープすること、がポイントと感じました。
 アコースティックギターのマイキングについてはいろいろ流儀があるようですが、僕はサウンドホールの真ん前30cmのところに置き、そこから斜めにネックの12フレットあたりに向けるようにしています。ヴォーカルのときは、直接マイクを吹かれないように口の斜め上にセッティングして、声帯あたりを狙うようにします。もちろんポップガードもつけます。
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 録音用のパソコンとのUSBオーディオ・インターフェースはRolandのQUAD-CAPTURE UA-55を使用。2万ちょいと実はリーズナブル。コレ、本当に凄くいいです。本格的なヤツは10万以上するんですが、これで十分ですよ。しかも普段はiTunesに溜めた曲データをこいつを経由してオーディオアンプに入力して音楽を楽しんでます。これ使うとPCから直接スピーカーに繋ぐなんてできなくなります。かなり音いいです。僕はオーディオマニアじゃないのでこれくらいで全然オッケー。
 録音でも使い勝手は良好。ゲインの調整も楽だし、取説は日本語だし(コレ、大事)PC側のドライバソフトもWindows、Macともに楽チン。マルチトラックのレコーディングでは、すでに録音した音源(例えばギターのバッキング)を再生しながらヴォーカルを乗せて行ったりする作業になりますが、音源とリアル音との間でタイミングが遅れる現象があります。これをレイテンシーというのですが、僕がやってみた限りではほとんど感じません。技術は進歩してますね、ホントに。何も言うことはないQUAD-CAPTUREですが、フロントパネル側のヘッドフォンモニタ出力部だけは結構ノイズがでかい。なので、写真のようにバックパネルの普通のアウト端子からモニタしてます。そして、ヘッドフォンのL側を抜いてあるのは、ちょっと理由があります。(後述)
 あと、USBバスパワー駆動なので電源要らずなんですが、しょぼいPCだと電流が足りなくてノイジーになったりすることがあるみたいです。USBハブなんか経由せず、ダイレクトに接続すること。

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 そしてPCはYっちの旧式Mac Bookを使用します。CPUは2.16GHzのCore2 Duo、OSも10.6 Snow Leopardまでしか上げられない。メモリも1GBです。いまとなってはショボイスペックですが、これでも十分マルチトラックのレコーディングが可能です。ただし、Garage Bandのオーディオレゾリューション設定で24ビット品質を選択すると、確実にハードディスク回転数不足でエラーとなります。ですので16ビットのCD品質でしか録音ができないことになります。また、複雑な操作をしていると録音中に上記エラーで止まることがあります。余計なアプリケーションは起動しないようにし、Time Machineの自動バックアップなんかも止めたほうがいいみたいです。今回使ったGarage BandはOS-Xに無料で付いてくる(正確には違うが)初心者用音楽制作ソフトウェア。音質なんかもそれなりだろうとナメてましたが、これがことのほか使えることが判明。音質も悪い訳じゃないし、プラグインのエフェクトも特に見劣りするわけじゃない。実はプロのクリエーターも使ってるらしいです。この辺りの詳細は次回以降に書くことにします。ただ、音源データの細かい手直しや、パンチインの処理、マスタリング機能はやはり不十分なので、オーディオ編集ソフトウェアのWaveLab Elements7を買いました。オーディオ波形を直接見ながら編集できます。廉価版ですが、素人の音源いじりには十分な機能、音質も良く、Windows時代からずっと愛用してます。ついにMacにも対応しましたね。ソフトウェアとしてはちょっとお高いんですが、買っちゃいました。
 Mac Bookで録音をするというのは、やはり手軽だから。僕のメインのMac Miniでも当然録音できるんですが、Mac Bookでの環境を整えられれば、こいつとQUAD-CAPTUREとケーブル類をカバンに入れればどこへでも録音に行けるということです。実際、町田のピアニスト宅にはこれらを持参して録音しました。大きめのカバン一個で録音に行けるなんて、一昔前までは考えられなかったよね。
 録音はギターから、ということになりました。歌も入っていない空白のトラックにひとりで黙々と録音することになります。煮詰まると結構辛い作業です。ほとんどの曲ではクリック音(ドンカマ)を聞きながらのレコーディングとなります。ヘタクソギタリストの僕はメトロノームが超苦手。今回のレコーディングではかなり上達せざるを得ないことになりました。これは収穫でしたね。
 普通に考えると密閉型のヘッドフォンを装着して自分の音のフィードバックを聞きながら、ドンカマに合わせて録音、ということになるのですが、これがやってみるとかなり厄介。自分の楽器の音はやはり直接聞きながらじゃないと、どうしてもノリやニュアンスが出せないんですよ。こんなふうになるとは思ってもみなかった。かといってオープンタイプのヘッドフォンを使って自分の生音を聞きながら録音しようとすると、ドンカマのクリック音をマイクが拾っちゃう。こりゃ困った。
 実はプロのミュージシャンも同じだそうで、ブルースハープの松田幸一さんにアドバイスをいただきました。ドンカマのクリック音はできるだけ小さく、そして片チャンネルだけにする。で、密閉型のヘッドフォンの片方を耳から外し、外した側の耳で自分の楽器の生音が聞けるようにする。Garage Bandではクリック音を片方だけ消すことができないので、さっきの写真のようにL側のフォーンジャックを抜いていたわけです。これで違和感なくレコーディングオーケー、あとは腕だけだ(笑)
 それでは主な楽器を紹介。曲によって使い分けたり、左右チャンネルでキャラクターの異なるギターを使うように心がけています。
13032300.jpg メインギターのNorthwood R-70-OM。ローズウッドサイド/バックのOMサイズ。きらびやかな音が特徴。ソロギターに向くが、歌伴ではフォスファーブロンズ弦だとキラキラしすぎるのでブロンズ弦を張って使用。ゆったりとしたアルペジオの曲で使用。
13032405.jpg Taylor 420。メイプルサイド/バックの80年代のドレッドノートモデル。ずしんとした低音とカラリと乾いた音が特徴。軽快な3フィンガーや、カッティングの曲で使用。
13032406.jpg 安物のEpiphoneの12弦ギター。もちろん合板だけど意外といい音がする。普段ライブなんかではなかなか出番はないけど、今回は結構活躍。ただし12弦はコードを押さえるのがしんどい。指もボロボロになる。フラットピックでアルペジオを弾いてアンサンブルに使うと奇麗。
13032407.jpg ヴォーカルのありのぶ君の歌は叙情派フォーク系。じめっと湿った歌が多い。チープなギターサウンドが欲しくて、なんとギブソンを買ってしまった。1960年のオールド物のGibson LG-1。ストロークよりフィンガーピッキングでブルースなんか弾くと、最高にそれっぽいんだが、アンサンブルのバックで3フィンガーなんか弾くと、ちょっとバンジョーっぽいぽこぽこ音でかわいい。マイナーでスローテンポの曲で使用。味が出ましたね。
 というわけで次回以降は実際のレコーディングの方法を書いてみます。


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