FAB

2011年01月14日

 僕の中学・高校の先輩に川田さんというひとが居る。実は同じ鉄道研究部の模型班の2年上の先輩。模型班には1年上に平野という先輩が居て、僕ら3人は夏休み中毎日、文化祭用のレイアウト作りのために部室で作業をしていた。というのは大義名分で、うだるような暑さの中、中学3年生のくせに川田さんは部室でタバコを吸ったり、裏の小林ベーカリーで買ってきたカレーパンを食べたり、レイアウト制作は遅々として進まなかったなぁ。中学1年だった僕はもちろん使いっぱで、数々の笑えるイジメを受け、たくましく育ったのでした、ちゃんちゃん。
 一度だけ、下板橋の川田さんの家に遊びに行ったことがある。当時リリースされたレインボーの「Highway Star」が爆音でかかっていて、あまりのやかましさにそれ以来僕はハードロックが大嫌いになる。まー、それはそれとして高校の途中で鉄研を辞めてしまった川田さんはその後、ベストカーの編集部に入る。で、WRC専門のジャーナリストとなってヨーロッパ中を駆け回っていたそうだ。鉄研のOB会でお会いしたのはそのころだったから10年くらい前だろうか。
 で、最近ググってみたら、なんとご実家で模型屋を始めたらしい。ということで遊びに行ってみました。それがFABという店です。なんと金曜と土曜しかやっていないという殿様営業ぶりで、「ああ、川田さんらしいな」と思わせます。
 そして板橋で仕事があった帰りに、ついに寄ってみました。喫茶店のような入り口には小さい「FAB」というタグがかかっているだけで、商売っ気ゼロ。戸を開けて「お久しぶりです」と言うとかなりびっくりされておりました。
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ショーケースに収まる車両たち。南海ビスタカーに国鉄クモハ12、東武ED5010など懐かしいやつらばかり。「なんだか小さいな」と思ったら1/8016番ゲージではなく、1/87の12mmゲージなのだそうだ。どうりで。いろいろな事情で日本の鉄道模型にはいろんなスケールとゲージが存在するんだけど、僕がやっていたころは1/150 9mmゲージと1/80 16.5mmゲージしか無かった。今は1/80 13mmゲージなんてのもある。いずれにしろ、鉄道模型やってるひとの90%以上は9mmゲージャーである。完成品の車両買ってきて走らせるだけか、キットを買ってきて組み立てて色塗っておしまい、というお気楽なモデラーばかり。川田さんによるともはや半田付けは「特殊技能」だそうだ。中学のころ、0.4mmの真鍮板買ってきて、ケガキ針でケガいて、糸鋸で窓を切り抜いて、模型屋のベンダーを借りて屋根を丸め、100Wの半田こてと塩化亜鉛水溶液と格闘しながら箱を作る、なんてことを僕はやってたんだけど、そんな面倒くさいこと今のひとはしないそうだ。「確実に日本人は手先がダメになってる」
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 おなじみD51ナメクジ、重油併燃テンダー。完成品だと40万円近くするが、日本人の人件費を考えれば、全然安い。
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 見事な仕上がりの東武ED5010。秩父からセメント列車を引いていた姿は、ついこないだまで見られた。昔の模型だと考えられないほどのディテールはエッチング技術の賜物らしい。
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 昔はでっかいセレン整流器を使ったパワーパックで電圧制御していた鉄道模型。今やマイクロモーターを仕込んだ車両をトランスミッターでコンピューター制御だそうだ。なので超低速運転が可能だし、サウンドも出る。
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 店内にはレイアウト建設中だが、完成はいつの日か。。。。
 興味のある方はぜひ行ってみてください。かなーりコアだと思いますが。

鉄道模型店FAB
金曜日15:00-19:30 土曜日13:00-17:00
池袋から東上線各停2駅下板橋徒歩1分
〒170-0011 東京都豊島区池袋本町3-26-12
Phone:03-3986-8544 Fax:03-3971-7939



コメント

カワダさんとはフィンランドで話したことがある。世の中狭いです。

伝説の川田さんっすか〜。

>ちぇざーれ
そうなんですよ。

>いっせい
え?川田さんって伝説なの?
こないだ平野さんと藤尾さんと山本さんが来たってさ。

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